LIFE IS A TRIP! ~Tour de JaPON 「自転車日本一周の旅」~

2018年夏、自転車日本一周の旅へ。自転車歴2ヶ月33才♂が奮闘。2017年秋、スペイン・サンティアゴ巡礼900km完歩。動画は→https://youtu.be/luRrk8gVzeg 好きな国は、ネパール、ミャンマー、スペイン、カナダ。山登り、音楽やサブカル、そして穏やかでイキイキしてる人が大好き。

初瞑想で得た気づき、ヴィパッサナー@京都

こんにちは、ポンです。


四国を歩き遍路として周り終わったのが8月下旬。そして、 愛媛からフェリーで大阪へ渡る。次の目的地は京都。 本当は陸路でしまなみ海道を渡り岡山と兵庫を経由して行きたかったが、 時間がなかったので仕方なく船を使う。


京都に向かう理由は、ヴィパッサナー瞑想を教わる為だ。


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自転車で京都の山中にあるメディテーションセンターへ到着。


※ 以下の内容は、ヴィパッサナー瞑想の方法自体には触れていない。俺個人が得た気づきや感じたことが内容の中心だ。ヴィパッサナーをこれから初めてやる予定や興味がある人は、 コース終了後にこの投稿を読むことをお勧めする。 瞑想中に得られる体験や気づきは、 各々違うので余計な先入観はない方が良いと思う。 それでも読みたい人やもう既に体験済みの人は先へどうぞ。

 

 

 

ヴィパッサナー瞑想とは?

目的は心の平穏を得て幸せになること。


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(ヴィパッサナー協会から配布された冊子より)


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コース参加者は戒律を守らなければならない。服装にも制限があり、カサカサ音が出るものや肩や膝から先が出る服は禁止。あと、男女は別々に隔離される。飯食うのも生活するのも、別。異性間の接触は極力ないように配慮されている。


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時間割り。朝4時起床、夜9時半消灯。1日12時間、瞑想するか講話を聴く。最初はともかく瞑想中に同じ体勢(あぐら)をなるべく維持しなければならないのが、本当にキツく痛かった。

 

 

 

ヴィパッサナーをしたきっかけ

理由①
人からの勧め            

一年以上の自転車旅で、色んな人々に出会った。その中で格好いいとか面白いと思う人たちから、「ヴィパッサナー」という単語をよく聞いた。別々の人何組もから。これは、何かの偶然か。いや、必然だ。ヴィパッサナーに俺は呼ばれていると感じた。

 

理由②
メディテーション(瞑想)に感じた縁

ロングディスタンスハイクが好きだ。長い距離を歩いて山々や山岳地域をハイキングしながら旅することだ。ネパールのエベレスト街道、スペインのサンティアゴ巡礼と四国のお遍路。長距離を歩いていると、景色や人々等の自分の外側に向かっていた意識が、だんだんと自分の内側や心に向かっていく。そうすると、様々な雑音や邪念に苛まれていた心が、落ち着いていく感覚がある。それが好きだ。特に、サンティアゴ巡礼は "The meditation way" と誰かが言っていたが、それも納得のものだった。なので、瞑想やメディテーションという言葉は、自分の頭の片隅にあったように思う。

 

以上の事から、ヴィパッサナーをやってみようと思い至った。

 

 

 

ヴィパッサナーで得た気づき

心の汚濁を浄化する

瞑想の先生が言うことや講話の内容を要約すると、こうだ。

「この世のなか、誰もが幸せになりたいと思っている。しかし、あなたの心にこびりついている痛みや穢れ。 普段は心の奥底に眠っているが、 何かの拍子でそれが心の表面に浮かんできて疼く。更に悪いことに、 それは一度ではなく何度も心の中でフラッシュバックされ、 あなたを苦しめる。そして、汚濁の大半は "嫌悪" か "渇望" から成っている。あなたの過去や未来から由来している "嫌悪" と "渇望" 。では、心の平安を、 真の幸せを享受する為にはどうすればいいか?
客観的に物事を見ることだ。完全な平静さと共に。そして 客観的に見て、ああ今は自分は怒っているな。と認識する。このように一歩引いて客観的に自分を、周りの状況を観察する。そうすると、その痛みは消え去る。そして、あなたは真の平穏と幸せを手入れられるだろう。」


「本当かぁ?」
と俺は疑った。どういう事だ?そんな事言われても、ピンとこない。しかし、 そのあと俺は身をもって知ることになる。

 

気づき①
心の汚濁を浄化する過程を実体験できた

毎日夕方5時になると、ティータイム休憩がある。新しい生徒( ヴィパッサナー初体験)には果物が与えられる。バナナ、 オレンジ、りんごなど。その中には梨もあった。 これが甘くて美味しいので人気なのだ。ただ、問題がある。 数が少ないのだ。たったの2個。対して、 新しい生徒は15人か20人か。明らかに梨が少ない。その為、 いつも梨の争奪戦だ。5時の終了の鐘が鳴ると同時に、 何人か一目散に食堂へ向かう。
その日俺も梨を食べたいから、急ぎ目に歩いて行く。 食堂に入ると、もう既に何人か並んでいる。目当ての梨は。。。 まだある。が、次々と人に取られて無くなっていく。残り8切れ、 6、4と減り、2切れだけ残った。しかし、 俺のちょうど前の人が2切れとも取っていってしまった。
「あぁ~。。。」
俺はガックリする。梨食べたかった。。。ふと、 周りを見渡すとおじさんが目に入った。あろうことか、 そのおっさんは梨を3切れも持っていた。
「おい、おっさん!梨3つって取りすぎやろ!いい年こいたおっさんが、 他人に配慮が欠けた振る舞いをするなんて。 きっと性格も良くないんたろう。」
と、おっさんの人柄を推測し、苛立つ。俺は仕方なく梨を諦め、席に座り果物を食べ始める。ふと、 この出来事を振り返る。すると、先生の言葉が頭をよぎる。「 嫌悪」と「渇望」。。


「!!!」


ああ、これか!先生が言ってたことは。
梨を食べたい食べたいと思っていた気持ちが「渇望」。
無配慮に梨を取ったおっさんを嫌う気持ちが「嫌悪」。
そういう風に客観的にこの出来事を眺めてみると不思議なことに、 おっさんに抱いていたモヤモヤした嫌な気持ちがスッと軽くなった 。そうか、こういうことか。これが、「心の汚濁を浄化する」 という事か。こうして、 俺は自分の身をもってしてヴィパッサナーの効果を実感したのだ。


大きな心の汚濁すらヴィパッサナーで浄化できるのか? 

しかし、ここで新たな疑問が浮かんだ。それが上記のことだった。 例えば、自身の病気や怪我、パートナーや家族の喪失、 等が由来の心の傷だ。気になった俺は先生に訊いた。すると、
「瞑想をすればする程、 より深く古い心の底に根差している汚濁は浄化される」
という答え。1回だけの瞑想では、 全て浄化できる訳ではなさそうだ。


気づき②
「目」が持つ情報量の多さ

10日間のコースの間、他者とのコミュニケーションは一切禁止。アイコンタクトも当然駄目だ。 とはいえ、そこは人間。 何かのはずみで他人と目が合ってしまうこともある。すると、その人の顔や表情が鮮明に頭に残ってしまう。これは瞑想には悪影響だ。他の物事に心をとらわれてはいけない。アイコンタクトが持つ相手への影響力の強さを実感した。「目」は、とても多くの情報を持っている。相手の感情や考えている事が読み取れる。
「目は口ほどにものを言う」

という言葉があるが、
「目は口よりものを言う」
と個人的に思っている。口では何とでも言えるが、目が嘘をつくことは難しい。

 
気づき③
英語を喋れる有り難み

先生はインド人だった。日本語は喋らないが、英語は喋る。その為、俺は直接先生とコミュニケーションできた。他の大半の日本人生徒たちは、コースマネージャーの方が通訳に入っている。通訳が入るとコミュニケーションの密度が薄くなる気がする。何故なら多くの人は、先生の目ではなく通訳者を見ながら訊き話しているからだ。相手の目を見ながら話すと、ちゃんと気持ちのやりとりができる。コミュニケーションが一方通行ではなく、キャッチボールできている気がする。ここでもアイコンタクトの重要性を感じた。

 

 

 

まとめ

他人の幸せを願うことは、自分の幸せに繋がる

 

May all beings be happy!

「生きとし生けるもの全てに幸せを!」

 

ヴィパッサナーを指導しているS.N.ゴエンカ師(以下ゴエタン : 心の中で俺はこう呼んでいた)の言葉だ。誰かを妬んだり憎んだりする時、自分の心がとても汚く淀んでいる事に気付く。その淀みが、自分の心を濁らせ己を不幸にする。そればかりか、それを周りに撒き散らし他人をも不幸にする。悪循環だ。そうではなく、良いものを、幸せを、循環させよう。それには、人の、他人の幸せを願うことがよい。そうすると、自分の心は軽やかに、澄んだものになる。他人の幸せを願うことは自分の幸せを願うことと同義だ。こんなこと、ヴィパッサナーをやる前なら「胡散臭い」と思っていただろう。だが、今は思わない。他人の幸せを願おう、と思える。

 

以上が、俺がヴィパッサナーで得た・学んだことだ。日常生活に戻った今、寝る前起きた後5分ずつでもいいから、瞑想を続けていきたい。そして機会があれば、また10日間コースに参加してみたい。

 

では、最後に。ゴエタンの言葉で締めたいと思う。

 

Be happy!

幸あれ!