LIFE IS A TRIP! ~Tour de JaPON 「自転車日本一周の旅」~

2018年夏、自転車日本一周の旅へ。自転車歴2ヶ月33才♂が奮闘。2017年秋、スペイン・サンティアゴ巡礼900km完歩。動画は→https://youtu.be/luRrk8gVzeg 好きな国は、ネパール、ミャンマー、スペイン、カナダ。山登り、音楽やサブカル、そして穏やかでイキイキしてる人が大好き。

カマキリと夜景と手の温もりと

「私、カマキリが嫌いなんです。」

 

ふいにその子は言った。

 

「小学生の時に、友達がふざけてカマキリを私の肩に乗せたんです。私がカマキリ嫌いなの知ってるくせに。で、その子を本気で殴りました。」

 

俺は思わず笑ってしまった。可笑しかった。その話をするのが、唐突だったから。

辺りは暗くなり、海からは心地良い風が吹いてきている。

「あっちに行こう。景色がいいから。」その子を誘う。

 

その場所からは、湾をはさんで対岸にある街の風景が見えた。大きな高層ビルがいくつも並び、飛行機避けの赤色灯を瞬かせていた。二人ゆっくり歩き、しばし夜景を眺める。 

 沈黙。二人とも黙って夜景を見ている。沈黙が気まずい。俺は何か話そうとするが、言葉が出てこない。口の中がカラカラだ。何か言葉が出かけては音にならず、空気になって口から漏れていく。口をパクパクするだけだ。さながらエサを待つ鯉の様だ。

どうしよう?何か、何か言うなり何かしなければ。「ええい、ままよ。」と俺はスッと手を伸ばし、その子の手に触れて握ってみる。瞬間、それまで笑顔を見せていたその子の顔が、ビクッと固まってしまった。「やらかした。。。」と思った。すると、温かな体温と握り返してくる手の感覚が、自分の手のひらを包んだ。その掌は、自分のよりも一回りも二回りも小さい。

風に揺れる彼女のボブカット。遠くにはベイブリッジ。なんだか頭がボーッとする。現実感がなく、まるで夢を見ているみたいだ。

 

 

 

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今朝、道端でカマキリを見かけた。そうか、もうそんな季節か。これから秋に向かうにつれ、よく見かけることになるだろう。

カマキリを見ると甦る、遠い記憶。