LIFE IS A TRIP! ~Tour de JaPON 「自転車日本一周の旅」~

2018年夏、自転車日本一周の旅へ。自転車歴2ヶ月33才♂が奮闘。2017年秋、スペイン・サンティアゴ巡礼900km完歩。動画は→https://youtu.be/luRrk8gVzeg 好きな国は、ネパール、ミャンマー、スペイン、カナダ。山登り、音楽やサブカル、そして穏やかでイキイキしてる人が大好き。

今を生きて

日が落ちそうだ。暗くなってきた。遠くの空が藍や紫の層をいくつも纏っている。辺りには、誰もいない。

俺はこの時を待っていた。
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クルスデフェロー。ここは、スペイン、サンティアゴの道にある山の頂き。Cruz de ferroとは、「鉄の十字架」の意味。そう、この山頂には十字架がある。げんこつサイズ位の大きさの石が沢山積まれていて、十字架はその上に建っている。
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ここは、巡礼者にとって意味のある場所だ。何故なら、「過去と決別できる」から。十字架の周りには、無数の写真や手紙がある。巡礼者たちが置いていったものだ。巡礼する人のうちのいくらかは、とてもプライベートな理由で歩いてる。離婚、失業、病気、愛する人との死別。そんな何かを喪失した者たちが、いつしかこの十字架の下に思い出の品などを置いていったらしい。痛みを下ろして、前に進むため。
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日はとっぷりと沈み、辺りは闇に包まれた。ヘッドライトを点ける。この山頂の標高は1,000mを越えるので、夏でも夜になれば肌寒い。昼間は沢山の巡礼者で賑わっていたが、今は自分以外一人もいない。

1通の手紙が、自分の手の中にある。日本からわざわざ持ってきたものだ。部屋の引き出し奥深くに眠っていた、捨てることもできないまま。

カムチャッカの若者が きりんの夢を見ている時 

メキシコの娘は~」

手紙をくれたのは、本や詞が好きな人だった。いくつか詞を教えてくれた。その中で一番印象に残ったのが、この谷川俊太郎の有名な詞だった。良い詞だ。

あと、他に何をもらっただろうか?俺は何をあげられただろう?

 

手紙を十字架の下に置く。飛ばされないように、石で重しをした。そして、そこらにあった石を一つ掴み、十字架目掛けて投げた。

「最後に石を投げることによって、過去は過去になり、新しい一歩を踏み出せるのよ。It's all goneてわけ。」

出会った巡礼者からこう教わったのか、ネットで見た情報だったか忘れた。でも、もはやなんだっていい。大事なのは、その話を知って、俺が石を投げた事だ。

 

 

 

 


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サンティアゴ巡礼を始める前、フランスで恩師に会った。その彼女から、言葉をもらった。"Live in the moment." 

聞けば、彼女はバツ1らしい。離婚した時は相当、精神的に参ったそうだ。死にたくなる時もあったのかもしれない。これが直接関係しているかわからないが、彼女の身に起きた様々な出来事を経てこの言葉が紡がれた、とそう思う。

 

そして、今は自分より一回りも若い、俺と同年代ほどのボーイフレンドがいる。そう話す彼女は、なるほど確かにイキイキしていている。自信があって自分の事を愛せる人は、魅力的な雰囲気を醸し出すのだろう。俺も見習いたい

とても大事な言葉をもらった。この言葉は、サンティアゴ巡礼中もずっと俺の心の中にあり続けた。感化され、あるアルベルゲで石に描いてみた。

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今まで起きた全ての事は、何かしら自分にとって意味があったのだ。良い事も悪い事も。そう思えれば、悪い出来事すらも価値を持ち、それに対して感謝の念さえ生まれてくる。

 

 

過去を振り返らず

未来に期待せず

今この瞬間を生きる

 

 

 

 

 

と、思ってたら最近財布を落とした。現金や免許証などのカード類も無くした。自転車に乗ってる時に落とした。何故あの時の俺はポケットに入れてたのか、悔やむ。今も後悔してる。

まだまだ修行が足りないようである。