LIFE IS A TRIP! ~カナダワーホリ経由、サンティアゴ巡礼行き~

2017年秋、スペイン・サンティアゴ巡礼900km完歩!動画は→https://youtu.be/luRrk8gVzeg NZワーホリ、ネパール・ミャンマーの旅、カナダワーホリ、からのサンティアゴ巡礼。ハイキング、音楽やサブカル、そして穏やかでイキイキしてる人が大好き。

聾唖のヒッピーとサンティアゴ巡礼を一緒に歩いた話

こんにちは、ポンです!

 

聾唖のドイツ人ヒッピーに出会い、一緒に巡礼路を歩いた。 


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聾唖(ろうあ)とは・・・高度の難聴で,日常生活に重大な支障をきたすようなもの (通常会話域の平均聴力損失が 90dB以上) を「聾」といい,それが原因で話す能力を失った場合を「唖」という。

要は、聞く事も話す事も難しい人の事を聾唖という。(これで合ってる、はず。)

 

出会いは、スピリチュアルなアルベルゲでだった。俺は、彼に話しかけた。しかし、返事が返ってこない。ほどなくして、彼が話せない事に気づいた。

聾唖者が巡礼をしている。その理由や巡礼をやろうと思ったきっかけに、俄然興味が湧いた。野次馬根性じゃなく、純粋に知りたいと思った。俺は筆談で彼とコミュニケーションを試みた。筆談してて気づいたのは、筆談はとても手間がかかるし、時間がかかる。英語で筆談したのでお互い語彙力に限りがあるが、それなりに「話した」。15分だか、30分が経った。すると、彼がこう言ってきた。

 

「一緒に歩かないか?」

 

正直、俺は戸惑った。基本的に、俺は1人が好きだ。ハイキングや旅をしてる時は特にそうだ。更に、俺は障害者とプライベートで付き合ったことがない。不安がなかったと言えば嘘だ。でも、こう考えた。

 

「耳が不自由な人と行動を共にできる。更に、遠くスペインの地で巡礼を一緒に歩くなんて、一生に一度の貴重な経験になるんじゃないか。これも神様か何かのお導き。彼が歩こうと言ってくれたのも、俺に心を開いてくれたからだろう。何より、おもしろそうだ。」

 

こうして、俺は彼の提案をありがたく受け入れ、一緒に歩くことにした。

 

 
 

コミュ力の高さにびっくりした。

巡礼中は色んな国の人々と出会い、話す機会はたくさんある。言葉を喋れない彼がどのように、初対面の人と「話す」のか観察した。 

ヤツは初対面の人と出会った時、まず最初に手話で話す。相手に伝わらなくてもだ。そうすると、やがて相手は彼が話せない事に気付く。彼のジェスチャーは、力強く相手を惹き付ける。まるで、エンターテイメントのようだ。そして、それで大体コミュニケーションが取れてしまう。不思議。

そうして仲良くなってくると、お互い自己紹介する流れになる。ヤツは、自分の出身国を、敬礼と行進するジェスチャーで表した。すると、皆すぐに理解した。

「ああ、ドイツね!」

と。なるほど、ナチスという訳か。彼の表現力に感心した。自分だったら、「日本出身」をジェスチャーでどう表現するだろうか?サムライか。それとも寿司か。刀とチョンマゲとハラキリで、やっぱりサムライかね。

 

そんなこんなで、相手とすぐ仲良くなったヤツ。そのパフォーマンスの様なボディーランゲージで、みんなが自然に彼のことを受け入れていく。彼を中心に、場は回っていく。皆、笑顔だ。そのコミュ力の高さは衝撃だった。凄いな、敵わないな。と、心底憧れた。

更に、ヤツは本物のヒッピーの様だった。星空がキレイだからと、わざわざ草むらで寝袋にくるまいながら星を眺め寝るような奴だ。アルベルゲに宿泊してるのに。

 

ヤツと一緒に歩いたのは、結局その半日だけだった。やっぱり俺は、1人で歩く方が性に合ってたようだ。ただ、ヤツと別れた後、このカミーノの道の上で何度も再会した。そして、その度に握手や抱擁を交わしたのだった。

 

彼と歩いていくつか得たものがあった。

1.  ハンデを乗り越え己を表現する障害者

盲目のピアニストというのをテレビで見かけたことがある。目が見えないけど、残された感覚をフル稼働、むしろ眠っていた潜在能力を開花させて素晴らしいピアニストになった、みたいな話だったとおもう。

ドイツ人ヒッピーは耳が聞こえないし、喋れない。 だが、残りの五感や己の体を駆使して、自分という人間を最大限表現し他者とコミュニケーションしていた。

 

2. 自分が障害者になったら?

乗り越えられるだろうか?

もし、五感のうち一つだけ残せるとしたらどれを選ぶ?視覚?いや、聴覚か?

障害者になったら、人とコミュニケーションできるのか?

聾唖の人て、どんな感じでセックスするんだろ?

色んな事に思いが巡る。こんな事、ヤツに出会わなければ考えもしなかったろう。

 

3. 今、その瞬間を生きる。

巡礼中、ヤツと再会すると俺は尋ねた。

「今日はどこまで歩くんだ?」 

彼は人差し指の先を口に含み、それを宙に掲げる。

「気の向くままに。」

という事だ。俺が尋ねる度にヤツはこの仕草で応えた。俺は聞くことを止めた。そうだな、先の事なんてわからない。気分なんて、その時々でコロコロ変わる。明日は明日の風が吹く

無心に歩いて、人と出会い語らい、飯を食い、歩き疲れたら、そこでその日の巡礼は終了。シンプル。自分の気の向くままに。自分の感受性を大事に。己の内から聞こえてくる心の声に、耳を傾けよう。

 

 

 

彼と出会い話し歩いた事は、俺にとって本当に貴重な経験だった。

 

サンティアゴ巡礼で、聾唖×ヒッピー×一番ハッピーなヤツと一緒に歩いた話。